な、な、泣いてしまった~~
1巻完結で良い感じにまとまっているのでおススメの一冊です。
まずは、あらすじ(ネタバレあります!ごめんなさい!)
小6・放置子の姉弟
女子の中で背の高さで目立つ女の子・ヒロインの理生(りお)。
主人公・夏留(なつる)とその女の子は、捨て猫がきっかけで仲が良くなり、夏休みともに時を過ごすようになります。
理生の家庭は、子供だけで過ごす姉と弟。
知れたら施設に入れられるから内緒にしてと理生は夏留に口止めします。
そんな理生に関心を持った主人公・夏留は、小6の夏にかけて親身に姉弟に関わっていきます。
理生の父は「漁に出ていると」言っていたのに、違った?
自分たち姉弟が父に捨てられてと知った理生は・・・、そして主人公・夏留は・・・。
巣鴨子供置き去り事件「誰も知らない」を彷彿とさせるテーマ
ヒロイン・理生(りお)の家庭は、先に母親が家を去り、その後・父親も2人の子を置いて家を出ていき(漁に行くとでたらめを言って)、対象の金銭的な援助はあったようだが、実質ネグレクト状態に置き、姉(小6)と幼い弟の2人で生活させます。
一方で、主人公の夏留(なつる)は、まだ母親から離れていない主人公として描かれます。
同じ小6で、大人の役割をせざるを得なかったヒロインとまだ母親から離れていない主人公を対照的に描きながら、その変化が丁寧に織り込まれています。
放置子・姉弟の切り詰める生活
父が家を出て行ってから家庭生活は、金銭管理も家事も、すべて小6の理生にかかってしまいます。
生活費を計算してスーパーで買い物し、弟のために料理や洗濯をします。
弟の勇太の服装はいつもブカブカ・・・?髪の毛も伸びっぱなし?
背の高いお姉ちゃんのお下がりの服を着ている設定だと思いますが、男児なのにカボチャパンツみたいな女児向けデザインのズボンを着ていたり、Tシャツも首元が緩くなっています。
それに、散髪も連れて行ってもらってないのか夏なのに髪の毛もモサっとしていて、伸びっぱなしの印象です。
弟の身なりで、金銭的に余裕のなさそうな描写に気付いて、また涙。
フィクションといえ、設定が作り込まれていて切ない。
大人からすると「ここはこうするべきだった」みたいに言いたくなるところがあるけど、この歳のこの子たちにはこれが精いっぱいの行動だったんだろうなって思うと胸がいっぱいになる・・・。
タイトル『神様がうそをつく。』考察
「嘘」という漢字は中学で習う
「神様がうそをつく。」のタイトルの意味。
どうして「うそ」がひらがなの?漢字じゃないの?って思ったんですが、
『嘘』という漢字は、中学以上で習う漢字だそうです。
主人公・夏留とヒロイン・理生は小6なので「嘘」と書けない。
「嘘」という漢字を書けないほど幼いというのを演出していると考察。
ここまで作り込まれてるっていうのが鳥肌ものです。
最後のコマ・理生のセリフの解釈
最後のコマのセリフがとにかく印象的で、
厳しい現実に生きる少年少女の、ひと夏の淡い恋模様を描いた切ない物語を締める大切なシーンです。
このラストシーンには希望が残るというレビューと悲しいけど優しい嘘というレビューと、読み手によってどちらの解釈もあるみたいです。
個人的には、最後の理生の言葉こそが「神様のついた嘘」でタイトル回収なんじゃないかと思いますが。
夏留を後押しするために、夢を叶えてねという願いを込めて「私との日々を忘れ前へ進んで」というメッセージだったのでは?と思って読みました。
まぁ、どちらにせよ、切なすぎるんですわ。
サッカーコーチやリオの父親、主人公の母、民宿の奥さんなど、色々な距離感の大人が描かれていて小6目線の現実の厳しさを感じました。
密度の濃い1巻完結で、いい感じにまとまった映画を見たときのような心地良さが残ります。
重い題材ではありますが、読後感は優しい気持ちなれる良い作品だと思いました。
毎回同じところで泣いちゃうので、コッソリと読み返してます💛
興味のある方は、是非試し読みしてみてください。