明るくポップなセリフとは裏腹に大人を泣かせるマンガ『きみのご冥福なんていのらない』を紹介します!
一巻表紙のポップなデザインと『きみのご冥福なんていのらない』という語感の良いキャッチーなタイトルに心惹かれて読み始めたら、
なんとゾンビものでした。
でも、あれあれ?
この作品・・・他のゾンビものとは一味違う・・・
ゾンビだけどパニック展開ではなく、ラブコメが主体のお話なので唯一無二に感じる!
今日はそんな『きみのご冥福なんていのらない』を紹介します。
きみのご冥福なんていのらない|全5巻完結
松尾あき先生の『きみのご冥福なんていのらない』全5巻完結している作品です。
表紙の表情が可愛いですよね~!
1巻以降の各巻も表紙のデザイン可愛くて、イラストもストーリーにリンクしていているのですが、私は1巻が一番お気に入りです!
主人公が高校生者なので、30代中盤の私にとっては「ばばあが高校生の青春甘酸っぱいラブコメいけっか~?」と読む前は躊躇する気持ちもあったのですが、
30代中盤のママレード・ボーイ世代の私でも楽しめたのは、これがただの恋愛ラブコメではなく、青春やり直し系ストーリーの側面を持っているからです。
高校生ものだけど大人が読んでも泣けます!
小野くんゾンビ化で2周目の青春スタート
第1話で、主人公・亜音(あのん)の同級生の小野くんは事故で亡くなり、ゾンビとなって生き返るというストーリーで、ここで小野くんを失った喪失感で包まれるのですが、ゾンビとしてよみがえった小野くんの原動力は”イチャイチャ”ということで、明るいドタバタ展開になります。
普通なら悲劇になりそうな展開も”喜劇”として楽しめる!
でもどれだけ明るくても「小野くんはがもういない」という現実は変わらないので、現世では結ばれる事はなかった亜音と小野くんは少しの猶予が与えられただけに過ぎません。
救われないという事実は変わらない中で、2人が”今を大切”に思いを刻んでいくとストーリーなのです。
”生”に未練が残らないようにと、逝く側と見送る側が2人で青春をやり直す展開がなんとも切ないくて、ああこれを人は”エモい”と言うのかと思いながら読みました。
「失ったものを取り戻す」という流れなので、30代中盤でも高校生たちの甘酸っぱさがツラくなったりせずに、むしろ『どんどん青春してくれ!今のうちに甘酸っぱい展開を楽しむんだ!』と主人公たちを応援する大人としてのめり込んで読みました。
青春の尊さを知っているからこそ沁みた・・・
”幸せからの現実”各巻の見せ場で見事に泣かされる
各巻ごとに”泣き所”があって、私は各巻の最後で毎回ほろりほろろとなりました。
特に、1巻第4話「白昼夢」のショーウィンドウに移る2人のシーンが印象的で、本当ならラブコメでいう”最高潮”のシーンなのに泣けてくる。喜びと切なさが共存していて苦しくなりました。
幸せの真っ只中を表現するシーンが、この作品に至っては”幸せ”が更新されればされるほど、最後の別れが絶対に辛くなるだろうとわかってしまうから、その切なさを思うと、かなり泣かされます。
各巻、幸せ~からの反動で泣かさせるんですが、笑い所も沢山あって
個人的に、3巻の亜音・父登場で加速しました🤣
『寝てる』⇒『ツー』のコンボで笑わない人いるんだろうか?笑
実家転がり込みの3巻はホントに面白さ爆発してる!家族一同キャラ良すぎ(笑)
4巻 伊吹先輩の覚醒
1~3巻で主要の高校生イベントを回収しつつ、2人の関係を深めていきます。
そして4巻で伊吹先輩の覚醒!
伊吹先輩いいですね。名前からして『伊吹』っていうのが『息吹・呼吸』を思い浮かべて、『生』を強く連想させる存在なのがホントに良いです。
思想にラスボス感あってギャップにすごいビックリしましたが、でも伊吹先輩って極端な思想と言動を除けば、割と正論なことも叩きこんでくる存在でした。
4巻・5巻で正論を叩きこんでくる伊吹先輩と対峙した亜音と小野くんの2人が”理屈じゃねーんだよ”ムーブで突っ走る感じが熱い展開でした。
明朝体?伊吹先輩のフォント怖すぎワロタ(笑)4巻第19話「告白」
5巻 小野くんの故郷へ・・・!
5巻は最終巻ということで「いよいよ別れが・・・」と構えて読んでいたのですが、その中で小野くんの”ばあちゃんの存在は良かったです。
「盆だしな」は名セリフ!笑
小野くんの生い立ち、不幸な身の上と気が付いていたけど、理解ある”ばあちゃん”の存在が救いでした。
でもよく考えるとばあちゃん、子も孫も失ってて、苦労の人ですよね。まだ故人を喪失したという事実を認められずに抗議している状態でしょうか。最後にようやく立ち直れそうな描写があったので一区切りという感じでした。
最終話、入学からの回想シーンで、きれいにまとまった読後感でした。
高校生という設定だからこそ死後の青春が尊かった
「高校生」という設定で、二の足を踏んだのですが、読んでみて、むしろ高校生という設定だからこそこんなにも儚いんだと意図がわかりました。
3巻のチェスト越しのカットが最高のアングルでニヤニヤが爆発しました💣
周りの大人も友人も個性豊かで明るいキャラ揃いで、ゼッタイに最終回で泣かされるだろうなと予期していながらも途中のストーリーではそれを忘れてしまうくらいのテンポの良い会話に笑っていました。
”笑い”と”泣き”の緩急が読み応えがあったので、大人の女性でも満足できる内容です!
キュンキュンと胸を打つ、そして青春の切なさもある、そんないいとこどりの作品でした。
ゾンビの原動力が”イチャイチャ”パワーという斬新な設定で大人の女性も面白い作品です!
『きみのご冥福なんていのらない』の語感が良すぎてホント声に出して読みたすぎるし、ご冥福だけ感じにすることでゾンビ感出ててすごく好き”ご冥福”と言う単語がこんなに前向きな作品は他にはないと思いますね📖