這い寄るな金星|第1巻
あらすじ
寺田芹果は今、精一杯のあざとさを発揮してひとりの男を籠絡しようとしている。彼には恋人が「いる」と知りながら。首尾は上々だが、その行動の裏には特別な理由が・・・
寝取られれば、寝取り返す! これは私と姉による存在を賭けたバトル!!
いや、1巻のあらすじで
"寝取られれば、寝取り返す! これは私と姉による存在を賭けたバトル!!"
って書かれる漫画のジャンルがラブストーリーで合ってるの?笑
ジャンルには疑問が残りますが、
いや、はや、
「這い寄るな金星」最高に面白いです。
ゾクゾクするような恋愛物を読みたい人におススメの一冊。
表紙絵からインパクト強すぎ
表紙からあまりにもインパクトが強い。。
目がクリッと大きい方が「芹ちゃん(せりちゃん)」で芹ちゃんを今にも食べてしまいそうな横の女の人が、芹ちゃんの「お姉ちゃん」。
芹ちゃんが主人公で、持ち前の小動物っぽい可愛さと計算高いあざとさでターゲットの男性をたぶらかします。
男がチョロい(笑)
芹ちゃんの積極的なアプローチには実は裏があって、過去の因縁へと話が戻っていきます。
最後の3ページでお姉ちゃんの歪みが明らかになって、遠くの空に星が輝く・・・
お姉ちゃんの本心とは・・・
で1巻終了。
あ~~!!続きを!!早く!!読みたい!!
感情の激しさと画角が素晴らしい
表情のバリエーションが豊富で、特にお姉ちゃんの爬虫類のようなねっとりした表情と芹ちゃんの激しさが出るシーンはページのテンションがすごく力強くて圧巻です。
一緒にヒリヒリした気持ちになったり、目がギンっってなるところでギャー!!ってなる。
ラブストーリー??本当に??このタッチはサスペンスでしょこれ。
絵柄が独特と思われるかもしれませんが、私は大好き。
生々しさが凝縮されていてキャラクターの表情にエネルギーを感じます。
そして、その激しく揺さぶられるキャラクターをとらえる視点がヤバい。めっちゃイイ角度でテンポよく見せてくれます。
特にお気に入りはピンポーンの瞬間。
布団の中で読んでいて、怖すぎて「ひゃあっっう」ってなった。
なんで金星(きんせい)なのか?
「這い寄るな金星」いかついタイトルですよね。
ラブストーリーとは思えぬ、なにか意味ありげなタイトル。
なぜ金星なのか。
私の勝手な考察ですが、金星の意味を調べると、
金星は、英語でヴィーナス。
美と愛の女神の名前で、ローマ神話ではウィーヌス、バビロニアではイシュタル、ギリシャ神話ではアフロディテに相当します。
ヴィーナスと言えば、あれでしょ。
ルネッサンス期のボッティチェリの名画「ヴィーナスの誕生」
もしくは、思いつくのは愛野美奈子ちゃん(セーラーヴィーナス)ですかね。
いずれにしても「金星」は「美と愛の女神の名前」であることから、この漫画で金星は「美と愛」を象徴するものであり、
「這い寄るな」と「金星」に向かって言っているのは、主人公の芹ちゃんでしょうから。
芹ちゃんと美と愛の女神との話だということが分かって、その美と愛の女神は「お姉ちゃん」であろうという考察です。
単行本のお姉ちゃんの左手が芹ちゃんの子宮辺りに触れていることから、芹ちゃん這い寄るなとけん制してたけど結局這い寄られちゃったんですね。
這うってさ。地面をでしょ。
這うってことは地面にベタっと寝そべるようにジリジリ詰め寄るイメージですよね。
地面を這って素早く動けないだろうから目的にじっくり近づくわけですよね。
そして、動きが遅いということは芹ちゃんが逃げないような状態もしくは気付かない場面でないといけないわけで、知らないうちにじわじわと近づくってことなんですよね。気づけばそこにいたって感じですよ。
しかも、金星が這うってことは空もOKでしょ。
芹ちゃんの周り四方八方から攻め入ることができますよね、金星。
昼間もね、見えないけど金星はあるしね。
ずっとそこに。
潜んでいるだけで。
しかもさ、「金星」って一番星なんですよ。日没後、一番に輝くやつ。
ほら!タイトルだけでこんなに怖い!なにこれ!
ね、この漫画凄みがすごいんですよ。