ときめきのいけにえ【全3巻完結】
あらすじ
神業寺マリは、彼女の家の住人たちが殺人鬼であることから、両想いの相手・花水木シゲルに本当の気持ちを伝えられずにいた。凄惨な血の儀式を経て、心の内に邪悪な何かを感じるようになってしまったマリ。どうやら失踪した兄も儀式で同じように変わっていってしまったようで!? 一方、同じく花水木に想いを寄せる美少女・狭山レナも暗躍し始めていた‥‥
今回は「ときめきのいけにえ」をご紹介!
抱腹絶倒!少女マンガをコンセプトにしたホラー風シェフの気まぐれギャグマンガです。
3巻完結の面白い少女マンガの最適解
このマンガと出会って「3巻完結の面白い少女マンガ教えて」って言われた時の最適解が決まりました。
「3巻完結の面白い少女マンガ教えて」の答えは『ときめきのいけにえ』です。
ホントに面白い。
作者様のあとがきで、2012年のアメリカ合衆国のSFホラー映画「キャビン」と設定が被っているところがあり一度は放置されていた作品がもとにあるというエピソードが書かれていました。陽の目を見てくれてよかった・・・ありがとう。めちゃくちゃ笑いました。
ラブストーリーなので、笑いましたという感想が適切かどうかわかりませんが、でも面白かったから「笑いました」の感想以外ないんです。
どう面白いのか私の文章力で全てをお伝え出来ないのがもどかしい。自分の笑いセンサーの浅さを恥じます。
まるで少女マンガとホラーとギャグのオードブル
少女マンガをコンセプトとしているので、メインストーリーは両想いになるかならないか、ライバル出現?!そして最高の友達!みたいな、ド定番の流れですが、一味違うのはそこにホラーが垣間見えるところ。
さっきまでのキャッキャウフフ・・・を1ページ進むだけで「戦慄」の様相に様変わりして「うわ、グロい」ってなって、
でまた1ページ進むと、平然と少女マンガの学園恋愛ベタストーリーに戻っていきます。
頭の中どうなってるの、1人の作者でやっているなんてとんでもない(笑)
少女マンガのメインテーマの中に、主人公の家系のほの暗さがあって、ああホラーなのねと思わせておきながら実のところギャグ見てるような状態。
みんなビュッフェとか好きでしょ?オードブルとか。
そんな感じて、いろんな味があって本当に楽しい。
登場キャラクターどれも普通じゃない
この面白さの根底にあるのが『どのキャラクターも普通じゃない』という設定かと思います。
だって、主人公マリの家の住人たちが殺人鬼ですよ?
でもこのマンガは、その普通じゃない人たちが「普通」に描かれていることこそが面白い。
少女マンガのラブストーリーを進めるにあたって、本来であればホラー要素は相いれないものです。主人公の家の住人たちが殺人鬼とか言語道断ですよ。
そんなラブストーリーとホラーの真逆の性質の結びつける必勝法がこのマンガでは「普通じゃない」こと。
普通の人がいたら、正論持ち出してきますからね。
「殺人はダメだよ!」的な。
でも、そういう一般的な正論をかます主要キャラクターはいなくて、キャラクター全員が普通じゃないので、主人公の生い立ちのヤバさも、主人公が恋する花水木くんの頭の空っぽさも上手く調和されています。
全員が常軌を逸する振る舞いなので、常軌を逸する方が普通みたいな感覚です。
毒薬変じて薬となる。
主人公のそれぞれのキャラクターが学園で家庭で、ちゃんと自分の役割をまっとうしています。
例えば、異常な両親とか、眼帯の家政婦・安田さんとか、弟は狂ってるし。
学校では、北小のマッドドッグ狭山レナ、親友の山口さんは一見普通の人のように見えて全然喋らない面白さがあります。
特に私の一番のお気に入りは、3巻で花水木くんのフルネームが「花水木シゲル」と判明すること。
完全にゲゲゲの・・・意識してるでしょ。花水木シゲル(笑)
作者様めちゃくちゃ遊び心ある。
ギャグ最高!作者様は小学生くらいの純真さと予想
繰り出されるギャグが私を射止めて止まないので、特にお気に入りを紹介しますと・・・
全巻通して面白いシーン豊富なんですが、そんな中でも私的には3巻が熱くて、
狭山レナが大事件勃発中の神業寺邸に忍び込んだ時「こんな時に不法侵入なんてこの前ポリに捕まったばっかなのに・・・」のシーン。
狭山レナが2巻で補導されているシーンの前フリがバッチリ効いています。
それと、
3巻の花水木シゲルと狭山レナの掛け合い
花水木シゲル「あっわるいけどそこに落ちてる空き缶捨てといて」
狭山レナ「撃ってきたらよけてね!」
という会話。
待て待て待て、殺人鬼が潜むかもしれない呪いの館に行く前の会話じゃないのよ。
「冷蔵庫にあるからチンして食べてね!」のテンションなんよ。
もうホントに笑わせてくれる。
腹ちぎれる。
手首くっつかないんだ・・・おお~っのシーンの捨てがたいのですが・・・
まあ、とにかく面白いんで読んでみてください。
それで、こんなに面白いマンガを描く人ってどんな頭の中してるのかなってすごく興味がわいて、あとがきを読んでわかりました。
たぶん作者様は小学生です。
言い換えると、小学生くらい純真な心をお持ちです。
見てコレ。
動悸(どうき)か生贄(いけにえ)か。
めちゃくちゃ笑ったコレ。
『動悸(どうき)か生贄(いけにえ)か』
どう考えてもこれは小学生の仕業です。(笑)
これにゴーサイン出すってすごい。
タイトルの「ときめきのいけにえ」をパロッて最終巻を煽るって考えられない。面白すぎる。
しかも状況証拠・・・まだあります。
最終巻のあとがきで長期連載の話の流れで、「100巻くらい続けられそうです」と記載あり。
100巻・・・(笑)
わかる、100って最強。
でも100が最強なのは小学生までです。
やっぱり小学生で間違いないですね。
すごいクレイジー(褒めてます)
何回読んでも何回も面白い。
少女マンガのド定番の流れをホラーを織り交ぜながら見せて、さらにギャグをトッピングするという神業。
主人公・神業寺マリのラブストーリー『ときめきのいけにえ』超おススメします。