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これを描いたら引退してもいい、くらいの気持ちで。【血の轍|全17集完結】

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完結おめでとうございます🤗

2023年8月『血の轍』完結おめでとうございます。昔に読んだ押見先生のインタビューで「引退してもいい」という意気込みで描かれているというのを知っていただけに、ついに完結を迎えたということが感慨深い・・・!押見先生のあとがきも読み終わってからザザーッと鳥肌が、、なんていうかとにかく最高でした。いろんな人の心をえぐって、色んな人を傷つけて、そして内省させて、最後まですごいパワーのある作品だったわ!

血の轍【全17集完結】

あらすじ

「惡の華」「ハピネス」「ぼくは麻理のなか」「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」など、傑作を次々と世に送り出してきた鬼才・押見修造氏が、ついに辿り着いたテーマ「毒親」!

母・静子からたっぷりの愛情を注がれ、平穏な日常を送る中学二年生の長部静一。しかし、ある夏の日、その穏やかな家庭は激変する。母・静子によって。狂瀾の奈落へと!

これを描いたら引退してもいい、くらいの気持ちで。

2018年の押見先生のインタビューで「引退してもいい」という意気込みで描かれているというのを知っていただけに、ついに完結を迎えたということが感慨深いです。当時の記事は下記のリンクから読むことができます。

このマンガがすごい!WEB|【インタビュー】押見修造『血の轍』 「これを描いたら引退してもいい」!? 読者に衝撃をあたえた、あのシーンの秘話も!?(2018/05/03)

このインタビューで、人生なにがツラいのか、親子問題のわだかまりなどを分析して、集大成にするというような押見先生の言葉の通り、最後まで静一は悩み続けていましたね。

静子ママは狂ってなかった?

静一の母・静子ママは狂った毒親だと思っていましたが、実際はどうなんでしょう。

実は、押見先生とふみ先生のインタビューで、静子ママは狂ってないと言われています。

WEZZY|明るい未来を諦めた日からはじまる道がある――『血の轍』押見修造×『愛と呪い』ふみふみこ対談

狂っていると思われている人にも、その人なりの必然性や苦しみがあるというのです。確かに、人間100%の善人も悪人もいなくて、それを自分でも自覚できていなかったりしますよね。

思春期のころ反抗期が始まって、母親がわずらわしく思った時「どっかいけ」と毒づいていても、実際に母親がどっかいって自分が捨てられると「ひどい」と悲しくなるように、100%好きとか100%嫌いとか割り切れる気持ちはなくて、母親の好きな部分と自分とは合わないなと思う部分はマーブル模様のようですよね。

母親も同じで、子どもを愛しているけど、自分自身の気持ちや過去の因縁もあって、静子ママはそんな苦しみの中、母親という役割を演じて生きていたのかもしれません。

最初は、少年と母親の思春期の問題と思っていましたが、親の世代の問題にまでスライドして展開させるストーリーはリアルで読み応えがありました。静子ママは静子ママで生い立ちに苦しみがあって、とすると静子ママにつらく当たっていた静子ママの両親にも背景に問題があったんだろうとか想像できるわけで。「家族の”轍”という愛ととか呪い」が断ち切られずにずっと受け継がれてきてしまったことが本質にあるわけで、そう思うと静子ママだけが狂ってたわけじゃないんだよなと思います。

みんな大なり小なり狂っているなら、むしろ狂っている方が”普通”なわけで、安全圏から”狂っている”って叫んでいる人もまた狂っている世の中なんだと痛感させられます。

静子ママが毒親なら、一郎も毒親でしょと思う

よく「静子ママ=狂った毒親」という見解を目にしますが、毒親は静子ママだけなんでしょうか?

この物語が静一の主観で描かれているので、静一の興味の対象である母親に視点がいきがち。私なんか女の立場で読んでいると、静子ママはモンスターのように怖う反面、でも実は私だって「良き母親でろうとするあまり」第三者から見たら「過保護で不気味に見られているかもしれない」という共感の恐怖があります。

確かに、静子ママは怖い。それに異論はない。

けど、それなら、父親は何してたんだ?

犯人探しをしたいわけじゃないですけど、父・一郎を見ていると『自分は蚊帳の外』みたいな感じで無関心?なのか関わってこようとしてないですよね。その癖に、事件が明るみになると「自分が悪い」と善人ぶる。

物語のクライマックスに近づくと「良き父」のように振る舞いますが、今まで何もしてこなかった無関心は静子ママへ償ったのかい?と思ってします。静子ママの生い立ちから『家族を愛す・愛される』という感情を教わってこなかったかもしれない。そんな静子ママを結婚後も救済できずに、息子を生贄にして生きてきたんじゃないのかい?

一番何コイツって思ったのが、最後の手紙にわざわざ静子ママの現所在地を書き残したこと。なぜ今頃になって心をかき乱すのか。自分だけスッキリ後始末出来たら終われると思っているなら浅はかだなと感じました。支払った賠償金の話も、まるで「自分は償ったから悪くない」と言い訳しているように響きました。

過干渉も毒親なら、反対の無関心も毒だと思う。

登場人物は救われたのか?

「血の轍」に登場するキャラクターたちは救われたのか・・・それはわかりませんが、押見先生のあとがきを読むと、この作品に取り込まれた(モチーフとなった)実在の人物たちへの想いが語られており、考えさせられました。

ひたすら、自分自身と向き合って描かれたのだと思います。この作品を読むと、支配される美しさ、支配される怖さ、自立について、考えさせられることが渋滞して、感受性の強い人にとっては用法容量を守らないとかなり刺激的な内容だと思いますが、それを消化した先に、登場人物にライドさせた自分自身の鎮魂ができるのではないかと思います。


無料立読み

押見先生、6年間の長期にわたる連載、お疲れ様でした。

「血の轍」ついに完結し、読み切りました。この作品を読むと登場人物のリアルさに触れることになるので、心をえぐられたり、内省したり、感情がかき乱されて大変でした。でも見届けることができて感無量です。晴れ晴れとしたときに読むと、ズーンと闇に引っ張られるので、あえて沈んだ気持ちの時に読むようにしていたのよね。そうしないと、心が引っ張られて数日再起不能に陥ることがあったから。それくらい引き込む力があったのは、アナログの世界で描かれている「主人公の静一の目を通した世界」があまりにもリアルだから。静一の感情が乗っている主観的な世界を追体験しているようで、静子ママにくっついていて、取りこまれている状態なので依存している感じが不安定で恐ろしかったわ。人間って”自分”の人格・自我がないとこんなにも頼りなく空洞なのかと恐怖で支配されていたわ。

最後まで、”口”の表現が印象的でした。惹きつけられる表情が多いけど、中でも”口”は飲み込まれるようで、最後まで怖かった。まだ読んでいない方は、是非”表情”を楽しんでもらいたいわ!

  • この記事を書いた人

りのへよ

▶︎育児&趣味&仕事についてのブログ運営中▶︎情報収集が好きだけど忘れっぽい30代ワーママ▶︎5歳と0歳の5歳差育児中▶︎カネなし趣味なし友達なしのないない尽くし▶︎数字は苦手・・・でもポイ活&セール情報は大好き▶︎エンタメ好きなので作品レビュー記事多め※当ブログではアフィリエイト・Google AdSenseによる広告を掲載しています

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