読み終わった後、放心した・・・。
最初はバカバカしいシュールなノリのドタバタ劇だと思ってたけど、読み進めるうちに小さい話が何層も重なって、最後にすべての物語が繋がって。読み終わったときに俯瞰して見ると、ものすごい世界が広がってましたわ。
喜劇なの~?!悲劇なの~?!ゾクゾクッて鳥肌立ったわ~~!
下天楼(げてんろう)1巻完結
作品情報
外天楼と呼ばれる建物にまつわるヘンな人々。エロ本を探す少年がいて、宇宙刑事がいて、ロボットがいて、殺人事件が起こって……? 謎を秘めた姉弟を追い、刑事・桜場冴子は自分勝手な捜査を開始する。“迷”推理が解き明かすのは、外天楼に隠された驚愕の真実……!? 奇妙にねじれて、愉快に切ない――石黒正数が描く不思議系ミステリ!!
TBS王様のブランチの語りたいほどマンガ好きというコーナー(2020/11/14放送回)でお笑い芸人ニッチェの近藤さんがミステリーマンガ特集でおススメとして紹介した1冊だそうです!
怒涛の伏線回収
短編で構成されている作品で、1冊で完結しています。
緻密に伏線が張られた小さい話が何層も重なっていて、クライマックス最後の1話ですべての物語が繋がっていたことが分かります。
これが、『下天楼』が”鬼伏線回収”と話題になった理由です。
外天楼とは作中の舞台のことで、無計画な増築の結果カオスとなった集合住宅をそう呼んでいます。
まさにこの漫画のような作りで、関連性はあるが基本独立した短編が存在していて、積み重なった事象が土台となって最後の結末へと辿り着きます。
短編として一つ一つを完成させながらも、気づきにくいとこで伏線をばらまくのが見事。
だからこれは関係し合いながら独立した短編集で、全部合わせての1巻です。
スッキリしない読後感も持ち味
怒涛の伏線回収を読み終わった時は、普通なら圧巻され「うわー!モヤモヤが晴れてスッキリしたわー!」と爽快になるハズ。
でも、この下天楼は、すんなりとはスッキリさせてくれません。
なぜなら、何か凄いものを読まされたなと思わされるから!!
明るいドタバタ劇を見てたはずなのに、いつの間にか、悲劇にすり替わっている感じでした。
怒涛の伏線回収があったのに、スッキリしない読後感こそ本作の持ち味!ゾクゾク感が最高です。
これは喜劇?それとも悲劇?印象のギャップが醍醐味
怒涛の伏線回収があるものの、スッキリしない読後感以外にも持ち味があります。
それは『不穏さ・不気味さ』
最初はバカバカしくて、シュールなノリをアハハと笑いながら読めるのですが、徐々に不穏さが増しシリアスさが占めていきます。
小さい話が何層も重なって、最後にすべての物語が終わったときに、いつの間にか『不気味』に憑りつかれていました。
第一印象がこんなにも違うなんて・・・!
最初の1話読んだときはまさかこんなクライマックスになるだなんてひとつも想像できません!とんでもないもん読んでしまったとギャップに驚くこと間違いなし!
伏線”鬼回収”を目当てに読むも良し!ゾクゾクくる読後感を目当てに読むのも良し!
最初の1話読んだときはまさかこんなクライマックスになるだなんてひとつも想像できません!とんでもないもん読んでしまったと驚くこと間違いなし!ギャップを楽しんで。
緻密なストーリーで読み返してみると、実は最初から伏線がある事に気付き、後半の一番盛り上がるとこでネタバラシをかましてきちゃった。
短編として一つ一つを完成させながらも気づきにくいとこで伏線をばらまくのが見事。だからこれは関係し合いながら独立した短編集で、全部合わせての1巻よ~!お見事ですわ。